リード獲得における展示会の役割とは?出展先の選定や実践の工夫

「新規リードをもっと効率よく獲得したい」「どの展示会に出展すべきかわからない」──そんな悩みを抱えるマーケティング担当者は少なくありません。
展示会は、見込み顧客と直接対話できる貴重なチャネルであり、短期間で多くのリードを獲得できる有効な手段です。しかし、ただ出展するだけでは成果にはつながりません。どの展示会を選ぶか、どんな準備をするか、当日どのように運用するか──こうした一つひとつの判断が、リードの「質」と「量」を大きく左右します。
この記事では、展示会がリード獲得において果たす役割を整理するとともに、“出展先の選定” と “現場での工夫” “展示会後のフォローアップ” まで、成果につながる実践ポイントをわかりやすく解説します。
リード獲得における展示会の役割
展示会は、見込み顧客と初めて直接接点を持てる非常に貴重な機会です。特定の製品やサービスに関心を持つ来場者が集まるため、ターゲット層に効率よくアプローチでき、リード獲得の母数と質を同時に高められる場として活用されています。
ただし、来場者の関心が高いということは、同時に複数の競合との比較検討が行われる場である、という意味でもあります。ブース設計や訴求ポイントが曖昧だったり、現場対応に一貫性がなかったりすると、他社に埋もれてしまい、せっかくの潜在顧客を取り逃がすリスクが高まります。
だからこそ、成果を上げるためには「事前の戦略設計」と「現場での確実な運用」が欠かせません。展示会を単なるイベントではなく、“リード獲得プロセスの重要な起点” として位置づけ、計画的に活用することが成果創出の鍵となります。
【関連記事】BtoB企業がイベントマーケティングで成功するための戦略ガイド!計画・フォローの重要性と主な施策
リード獲得を重視した展示会の選定方法
リードの「質」と「量」を最大化するには、まず どの展示会に出展するか を戦略的に見極めることが不可欠です。ここでは、リード獲得を目的とした展示会選定を成功させるための3つの視点を紹介します。
来場者と展示会の分析
出展を決める前に、自社のターゲットと展示会の来場者属性が一致しているかどうかを丁寧に検証することが必要です。
過去の来場者データや出展実績を分析することで、展示会がリード獲得に適しているかを客観的に判断できるようになります。
たとえば以下の指標をチェックすると、精度の高い判断が可能です。
-
過去の来場者数・業種・職種
-
名刺獲得数
-
ヒアリングシートの回収率
-
リードのフォロー区分(A/B/C など)ごとの件数
-
商談化率・受注率・受注単価
これらをもとに 出展ROIをシミュレーション することで、「なんとなく良さそう」という感覚ではなく、データに基づいた戦略的な判断ができます。
投資対効果を考慮した判断
展示会は費用が大きくなりがちな施策だからこそ、
どれだけの商談や売上につながる可能性があるかを数値で評価する視点 が重要です。
費用対効果が明確になると、社内の意思決定者への説明もしやすくなり、出展可否の判断もスムーズになります。
また、展示会ごとの成果を数字で比較できるため、報告資料の精度も高まり、次回以降の出展計画にも活かせます。
競合他社の動向分析と自社の差別化
競合がどの展示会に出展し、どのような訴求やプロモーションを行っているかを把握しておくことも重要です。
そのうえで、
-
自社ならではの強み
-
他社が模倣しづらい提供価値
-
来場者が「違い」を感じるポイント
を明確にしておくと、展示会場での差別化につながります。
とくに、製品やサービスを体験できるデモンストレーションは、来場者の興味を引きやすく、理解促進にも効果的です。ブースの造作や導線、見せ方を工夫することで、自社の印象を強く残すことができます。
競合の動きを参考にしつつ、自社らしさを効果的に打ち出すことが、リード獲得に直結する差別化戦略となります。
リード獲得率を上げるための現場での工夫
展示会では、できるだけ多く、かつ質の高いリードを獲得したいと考える企業が大半です。そのためには、現場での運用をどれだけ「再現性のある仕組み」にできるかが鍵になります。ここでは、リード獲得率を高めるために有効な現場での工夫を紹介します。
効果的な声かけとトークスクリプトの準備
来場者への声かけは、タイミングと内容の事前準備が非常に重要です。
あらかじめトークスクリプトを作成し、事前ロールプレイでスタッフ全員に浸透させておくことで、誰が対応しても一定の品質を維持できます。これにより、ブース内でのコミュニケーションが滑らかになり、来場者の離脱を防ぐことができます。
さらに、課題を引き出すための質問項目を設計しておくと、会話の主導権を握りやすくなり、短時間で来場者のニーズを正確に把握できます。
スタッフ全員が同じ基準で対応できる状態をつくることで、ブース全体の接客力が底上げされ、結果として獲得できるリードの質も向上します。
役割分担による効率的なリード獲得
展示会当日は想像以上に業務が多く、担当範囲が曖昧なままだと現場が混乱し、リード獲得の効率が下がってしまいます。
-
声かけ担当
-
製品デモ担当
-
課題ヒアリング担当
-
情報入力・記録担当
このように役割を明確に分担しておくことで、対応スピードと精度が一気に向上します。
また、役割が明確だとスタッフ同士の連携が取りやすくなり、急な混雑やトラブルが発生してもスムーズにリカバリーできます。
結果として、来場者一人ひとりへの対応品質が高まり、より多くのリードを確実に獲得できる体制が整います。
積極的な名刺交換とヒアリング術
名刺交換は、可能な限り早い段階で済ませるのが理想です。名刺を交換することで、「公式な会話のスタートライン」がつくられ、自然と次のヒアリングに移りやすくなります。
その後のヒアリングでは、以下のような深掘りが重要です。
-
抱えている課題
-
導入検討の背景
-
現在のツール環境
-
予算感や導入時期
表面的な会話で終わらせず、「次のアクションにつながる情報」をしっかり引き出すことで、展示会後の商談化率が大きく変わります。
積極的なアプローチ姿勢は、来場者からの信頼獲得につながり、リードの質そのものを引き上げてくれます。
リード獲得・育成のための展示会後のフォローアップ
展示会でリードを獲得した後、いかに商談につなげるかが次の大きな課題です。
展示会終了後は、たとえば「48時間以内にお礼メール」「72時間以内に営業による優先度判断」「1週間以内にMAシナリオ投入」など、明確な時間軸を設計できるかどうかが成果を左右します。ここでは、展示会後のフォローアップにおける3つのポイントを解説します。
迅速なお礼メールとアフターフォロー
展示会終了後は、できるだけ早いタイミングで来場者へお礼メールを送ることが重要です。とくに優先リードに対しては、当日の会話内容を踏まえた個別フォローを行うことで、信頼関係を早期に築くことができます。
また、お礼メールに相手の関心や課題に触れる一文を添えることで、印象に残りやすくなり、その後のアクションにもつながりやすくなります。
スピード感とパーソナライズを両立した初動対応が、商談化への第一歩です。
リード情報の整理・分析・セグメンテーション
展示会で獲得した名刺やリード情報は、可能な限り早くデータ化し、属性や温度感に応じて分類することが重要です。
CRM や MA を活用することで、リード管理や分析が容易になり、次のマーケティング施策にもつなげやすくなります。さらにリードをセグメントごとに適切なアプローチを設計すれば、無駄のないフォロー体制を構築できます。
その結果、商談化率の向上や営業活動の効率化が期待できます。
継続的なナーチャリング戦略
ニーズが顕在化するタイミングは予測できないため、顕在化した際に逃さずアプローチできる仕組みを構築していく必要があります。
展示会で獲得したリードが、必ずしもすぐに商談化するとは限りません。
そのため、セミナー案内やメール配信などのナーチャリング活動を通じ、継続的に関係を維持しながら育成していく必要があります。
とくに、リードの温度感に合わせてコンテンツを提供することで、ニーズが顕在化した際に的確なアプローチを行うことが可能になります。購入検討のタイミングは予測できないため、顕在化した瞬間を逃さずアプローチできる仕組みを整えておくことが何より重要です。
【関連記事】リードナーチャリングとは?実践するメリットと成功するためのステップ
まとめ
この記事では、リード獲得における展示会の役割について、以下の観点から解説しました。
- リード獲得を重視した展示会選定方法
- リード獲得率を高めるための現場での工夫
- リード獲得後のフォローアップと育成戦略
展示会は、見込み顧客との初回接点を築ける貴重な機会です。
その成果を最大化するためには、出展先の選定、競合との差別化、現場での声かけや役割分担、そして展示会後の迅速なフォローアップまでを一貫して戦略的に設計・実行することが求められます。
マーケティング担当者は、現場感覚とデータ分析の両輪で施策を運用し、展示会を“その場限り”で終わらせないことが重要です。
成果につながる仕組みづくりを意識しながら、次の商談や製薬へと確実にリードを育てていきましょう。
『猿人』の支援サービスについて
『猿人』では、BtoBマーケティングにおけるさまざまな課題に向き合い、戦略設計から実行支援、KPI設計、組織体制の構築・変革まで一気通貫でサポートしています。
- 「展示会で獲得したリードを適切に見極めたい」
- 「属人化した施策を再現性ある仕組みに落とし込みたい」
- 「展示会ごとの成果を可視化し、次回施策の改善につなげたい」
このような課題をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
施策設計に役立つTodoリストや進行表、RFPひな型など、実務にすぐに使える資料もご用意していますので、ぜひチェックしてみてください。