イベント × BtoBマーケの極意 リソース不足解消の一手 〜前編〜
マーケティング活動の一環として、イベントの活用は欠かせません。しかし、多くの企業ではイベントを最大限に活用したくても、リソース不足によってその前後の施策を含めて実行しきれないといったケースが散見されます。
この記事ではイベントマーケターが本来やるべきことと、その実現に立ちはだかる壁となるリソース不足問題について解説します。
イベントマーケターのやるべきこと
まずはじめにイベントマーケターがやるべきことについて解説します。イベントだけではなく、前後の施策を含めた連動施策は数多く存在します。前後の施策と連動して実行することで、イベントの費用対効果は大きく変わってきます。
1.アウェアネス |
|
---|---|
2.リードジェネレーション |
|
3.ナーチャリング |
|
アウェアネス:イベント前の認知拡大アクション
イベントでのリード獲得を最大化させるためには、イベント実施前のアウェアネスの拡大から手を打ち始めることが重要です。
会場で初めて認知するケースももちろんありますが、見込み客となる来場者の方たちに対して企業や製品の存在を認知してもらった状態での参加してもらうことにより、その後のリード化がよりスムーズになります。
具体的なアクションとしては下記の施策が主な手段となります。
- ブログ記事などによるコンテンツマーケティング
- ソーシャルメディアキャンペーン
- 広告
- 各種メディア媒体でのPR活動
ブランドの認知度を高めながら興味関心を喚起し、後のマーケティングステージに進むための準備を整えることで、見込み客となる方が自社やサービスを認知するとともに信頼を築くことが出来ます。
イベントでの効果を最大化すると同時にデマンドジェネレーション全体の基盤を形成する上で事前の下地作りが重要と言えます。
リードジェネレーション:実際のイベントでのリード創出
イベントマーケティングにおけるリードジェネレーションは、主に2つのタイミングで行われます。例えば、自社主催のカンファレンスやセミナーであれば、参加登録をするタイミングがリード獲得のタイミングとなります。展示会や協賛イベントなど、他の主催者が開催するイベントに講演や展示の形で協賛出展するときは、イベント会場での名刺獲得やアンケート獲得がリードジェネレーションの場となります。
いずれの場合も、ターゲットとなる来場者の興味を引き、課題解決に役立つ魅力的なコンテンツを用意することが最も重要となります。そして、イベント会場においては「そのコンテンツ(≒価値)をいかに体験してもらうか?」 そして「いつどのタイミングでどのようにリードを獲得するか?」というふたつの仕掛けを設けることで、より成果の高いリード獲得が可能となります。
また、見込み顧客のニーズや検討状況など、今後のナーチャリング活動に必要な具体的な情報を収集します。
リードジェネレーションの役割は、見込み顧客が自社に持つ単なる興味関心を、次なる具体的なアクションに変えるために、見込み客をより深く理解し、ナーチャリングフェーズで個別に対応できるようにすることです。
ナーチャリング:イベントで獲得したリードの育成
無事にイベントを終えたら今度はナーチャリングプロセスに進むことが大事です。
獲得した顧客情報をそのままにするのでは無く、イベント内にてリード情報得た見込み顧客との関係を深めていくことで、その後の具体的な検討プロセスを加速させることができます。
具体的なアプローチ手法としては、以下の施策が挙げられます。
- メールマーケティング
- パーソナライズドコンテンツ
- 定期的なフォローアップ
- 顧客の課題感や悩みをとしたウェビナーやセミナーの開催
パーソナライズされたシナリオ配信やコンテンツの提供によって見込み顧客の抱えるペインに理解を示すことで、見込み顧客に価値ある情報を提供しつつ関係性を醸成していくことができます。
ここで重要なのは、見込み客が購買を決断するまでの間、自社やサービスに対する理解の向上を通して継続的に関心を引きつけ、信頼を築くことです。
これにより、見込み客は自社の製品やサービスについてより深く理解し、最終的には購買へとつながる可能性が高まります。イベントの場で生じた熱量をキープしながらさらなる関係値の強化を目指していくことまで含めてこそ、イベントマーケティングによるデマンドジェネレーションは最大の効果を果たすことができると言えます。
最大の課題はリソース不足!
次にイベントマーケター最大の課題であるリソース不足について解説します。
3つの代表的なリソース不足
よくあるリソース不足の例として下記の3つが挙げられます。
人員の不足
- 業務領域が多岐にわたり、手が回らない
- 複数のプロジェクトやタスクの同時進行による時間の逼迫
スキル不足
- 必要な専門知識や技術が追い付かない
- 時間効率の低下と、クオリティの低下
予算不足
- 限られた予算での運用を強いられる
- 教育やトレーニングに投資できず、スキル向上が遅れる
タスク領域
イベント前後の施策を含めると、ベンダーや関係者とのやり取りが数多く必要です。PM・舵取りをしながら、すべてのベンダー・関係者とやり取りするのはほぼ不可能に近いと言えるでしょう。
社内ステークホルダー
- BDR
- SDR
- エンジニア
- セールス
- テクニカルセールス
- 本社
- 役員やエグゼクティブ
社外ステークホルダー
- 顧客企業
- パートナー企業
- イベント主催者
- イベントマーケティングを行うために必要になる多数のベンダー
- メディアなど
ステークホルダーが多く存在することによって、社内の各立場のメンバーからそれぞれの利害関係に応じた声が出てくることは常にあります。「自分の担当のパートナーを立てたい」、「何でここに予算がいるの?」、「VIPへのホスピタリティは必須でしょ」、「リアルに会いたい」、「もっと○○のリードがほしい」、「正しい情報を発信して!」…etc.
広範なタスク範囲をこなしながらこれらの利害調整を行いつつ、全員の要望を叶えて全体最適を図るのは容易なことではありません。(というよりも、もはや不可能と言えます…)
リソース不足がもたらす影響
イベントマーケティングを成功させるためには、適切なリソース管理が欠かせません。ここではリソースが不足すると、プロジェクト全体にどのような影響が及ぶのかを具体的に解説します。
プロジェクトの遅延
プロジェクトの全体のタスクの洗い出しや分担
プロジェクトの全体のタスクの洗い出しや分担を十分に設定できないと、タスクの分担やスケジュールが曖昧になりがちです。この結果、プロジェクトの進行が遅れ、プロジェクト全体へ波及します。
スケジュール管理が困難に
リソースが限られていると、タスク管理が困難になります。予定通りに進められないタスクが増え、全体のプロジェクトスケジュールが乱れ、結果としてプロジェクト全体の進行が滞ることになります。
ケアレスミス増加
ミス対応にリソースを割かれる
リソース不足はケアレスミスを引き起こし、その対応にさらにリソースが取られます。この悪循環により、本来の業務に集中できなくなります。
ミス蓄積により、品質低下
ミスが蓄積すると、プロジェクトの最終的な品質が低下します。リソース不足では、品質管理も疎かになりやすく、製品やサービスの信頼性が損なわれます。
リードの質低下
無計画な施策で不適合なリードが増加
リソース不足は施策の計画と実行にも影響を与えます。無計画な施策を実行することで、不適合なリードが増え、リードの質が低下します。
リードの質が低下により成約率が下がる
質の低いリードが多くなると、成約率も低下します。これは最終的な売上にも悪影響を及ぼし、企業の成長を妨げます。
チームの士気低下
過重労働や成果不振によるメンバーのモチベーション低下
リソース不足はチームメンバーに過重労働を強いることになります。成果が上がらないことで、メンバーのモチベーションも低下し、働く意欲が失われる可能性があります。
長時間労働やストレスで離職率が増加
長時間労働やストレスの増加は、離職率の上昇を招きます。これにより、さらにリソースが不足するという悪循環を招く可能性があります。
フォローアップの体制不全
既存リードへのフォロー施策実行不可
リソース不足では、既存リードへのフォロー施策を十分に実行できません。これにより、リードの育成が停滞し、見込み客の興味関心を高めることが難しくなります。
リード育成が停滞
フォローアップが不足すると、リード育成が停滞し、最終的な成約へとつながる可能性が低くなります。
顧客満足度の低下
遅延やミスの増加で顧客満足度が低下
プロジェクトの遅延やケアレスミスの増加は、顧客満足度を低下させます。顧客からの信頼が低下し、他の競合企業に流れる可能性が高まります。
顧客からの信頼低下
長期的には、顧客からの信頼を失うことにも繋がり、ブランドの評判にも悪影響を及ぼします。
適切なリソース管理は、プロジェクトの成功に直結します。リソース不足が引き起こすさまざまな問題を理解し、これらを回避するための対策を講じることが重要です。
手段の目的化
イベントをやること自体が目的になってしまう
イベント開催に向けてやらないといけないことに忙殺される結果、イベントを実行すること自体が目的になってしまう現象が起きてしまいがちです。
マーケターがやるべきことができない
ここまで見てきたように、イベントマーケターがやるべきことは前後施策の設計まで含め、広範囲に渡ります。リソース不足に手を打たないと、戦略的に成果を出すという本来のミッションとは真逆の道を進んでしまいます。
まとめ
前編ではイベントマーケターが本来やるべきことと、その実現に立ちはだかる壁となるリソース不足問題について解説しました。
イベントマーケターはデマンドジェネレーションの実行を担う主要担当者です。獲得すべき潜在リード層に対してのアプローチ手法が増えたことによって業務範囲が広くなり、慢性的なリソース不足に陥ることもしばしばです。
その結果として生まれるシワ寄せの影響範囲もまた広くなり、さらなるリソース不足のループに陥ることも少なくありません。
次回後編では、リソース不足に対する解消法と私たちがお勧めするパートナー企業の選び方についてご紹介したいと思います。
イベント×BtoBマーケの極意関連記事
「リソース不足」を解消したい方へ
どんなイベントでもどんとこい。あなたの「丸投げ」、受け止めます。
「リソース不足 解消の一手」と題したダウンロード資料をご用意しましたのでご覧ください。