Vol.5 — Plug In to JapanMarc Einsteinが語る
「使えるショートカットで日本市場に入る方法」

ENJINスタッフ執筆
- 2026年 2月 27日 - 

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多くの海外企業が日本進出で失敗するのは、製品が悪いからではありません。新しい市場を学び、ゼロから信頼を築き、「サポート」が日本では一つのものではなく“エコシステム”であることに気づくのが遅れる――それなのに全てを自力でやろうとするからです。

本インタビューでは、テクノロジーアナリストのMarc Einstein氏が「Plug In(接続)」の実践的な意味を解説します。JETROを過度に期待せずに活用する方法、大使館や業界団体が過小評価されている理由、ビザなどのオペレーション業務が知らぬ間に事業全体を遅らせないためのポイントなど。「使えるショートカットは使う――ただし、それを“誰かが自分の仕事を代わりにやってくれる”と勘違いしないこと」がテーマです。

まずはJETROから、でも「できないこと」も知っておく

― 外資企業が日本で使える外部支援にはどのような種類がありますか?
 Marc Einstein氏
日本は意外なくらい支援のエコシステムが充実していて、いくつかの層に分けて考えると分かりやすいと思います。まず公的支援としては、JETROのような組織があります。市場調査や参入初期のフェーズで役に立つことが多く、適切な人や情報源につないでくれます。

それから、多くの会社が見落としがちなのが「大使館の商務部門」です。東京の大使館の多くはイベントやネットワーキングの機会を頻繁に用意していて、参入初期にエコシステムの“正しい入口”に出会う手段として有効です。このほかにも、助成金や視察ツアー、連携プログラムのような“枠組みのあるプログラム”があります。特に、まだ市場の手応えを検証している段階では、労力をかける価値がある場合があります。

そして最後に民間の支援です。マーケティング代理店や営業支援、コンサルタントなど、立ち上げのスピードを上げてくれるパートナーがいます。日本は営業サイクルが長くなりやすいので、うまく使えれば時間を大きく短縮できます。重要なのは、期待値の置き方と順番です。公的機関はあなたの代わりに営業してくれるわけではありませんし、民間パートナーについても、十分に調べる前に独占的な関係に急いで入るのは避けたほうがいい。とはいえ、このエコシステムをうまく活用できれば、発見(ディスカバリー)の速度を大きく上げ、避けられるミスを減らせます。

 ― JETROは多くの企業が最初に知る組織ですね。何が最適で、何を期待すべきではありませんか?
Marc Einstein氏
JETROは本当に役立つ存在だと思います――ただし、正しい期待値で臨む場合に限ります。実務的な支援(仮オフィス、メンタリング、イベント、役立つ人の紹介)をしてくれます。ただし、JETROを「外注営業チーム」として扱うと失望します。

「トヨタやデンソー、三菱に売りたいから全部アポ取って」と頼んでも、きっとフラストレーションが溜まるだけです。JETROは参入のハードルを下げてくれますが、パイプラインを回してくれるわけではありません。

JETROは「進出前~直後」が最も効果的

―市場参入のどの段階でJETROが最も効果を発揮しますか?
Marc Einstein氏
私の経験では、JETROはリサーチ段階や日本に初めて来るタイミングで最も効果的です。彼らのミッションの一つは「企業に日本に来てもらうこと」なので、ポジショニングを模索し、基盤を作り、進出の本気度を決める段階で価値が出ます。
また、必ずしも日本にいなくても始められます。JETROは世界中にオフィスがあり、国際イベントにも出ているので、上陸前から早期に関わることができます。

「準備」とは曖昧なピッチデック以上のもの

―JETROには曖昧なピッチではなく明確なICPで臨むべきと強調していますが、「準備ができている」とは具体的に?
Marc Einstein氏:
準備ができているとは「スライドが多い」ことではありません。自社のユニークさと、日本でスケールする理由を明確に説明できることです。JETROは政府とつながっているので、経済効果や雇用創出なども重視します。ストーリーに差別化と信頼性があれば、より注目されます。

ですが、準備が足りない状態、つまりストーリーが曖昧でICPもはっきりしない状態で行くと、話がどうしても一般論のまま終わってしまい、その流れで「JETROが営業までやってくれるはずだ」という期待にすべり込みやすいです。実際、JETROが本来しないはずの紹介や商談設定を強く求めてしまい、何も動かなくて不満だけが残る、というケースを見てきました。

また、何を手伝ってほしいのか具体的にすることも大切です。拠点が欲しいのか、特定イベントに参加したいのか、メンタリングが欲しいのか。その明確さが大きな助けになります。ただし、メッセージングやピッチ、フォローアップ、納品など「本当に大変な部分」は自分でやる必要があります。

大使館は「静かに有用」――実行準備があれば

― JETRO以外で、大使館はどんな役割を果たせますか?
Marc Einstein氏:
大使館は活用されていないことが多いです。東京の大きな大使館は頻繁にイベントを開催しています。スタートアップ視察団やセミナーを主催し、業界関係者が実際に集まる場を作っています。私自身も何年も参加してきましたが、実際にビジネスにつながったことも多いです。
ポイントは「大使館はドアを開けてくれるが、実行は代わりにやってくれない」ということ。紹介をもらっても、ピッチが曖昧、要望が不明確、フォローアップが雑だと何も起きません。エコシステムにPlug Inしても、最終的には自分で動く必要があります。

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ビザや「管理業務」は“サイドクエスト”ではない

―ビザ戦略や在留管理がチームの足を引っ張ることが多いですが、海外企業がよく間違える点は?
Marc Einstein氏:
最大のミスは、ビザやHR業務を「一度きりの書類作業」として海外のバックオフィスに任せてしまうことです。環境は変わりますし、要件も変わるし、ビザの種類ごとにタイムラインも違います。専門家の助言と、計画にバッファが必要です。

もう一つ見落とされがちなのが、ビザ発行後の義務です。年金・健康保険・雇用保険の加入や支払いなど、新規参入企業が長期間ミスすることもあります。これが後々、在留資格のトラブルにつながることも。私のアドバイスはシンプルです。「管理業務」を“誰も責任を持たないボトルネック”にしないこと。日常的に対応している現地パートナーと組みましょう。

Marcの“秘密兵器”:業界団体

―業界団体は見落とされがちですが、ロゴ掲載以外にどんな価値がありますか?
Marc Einstein氏:
業界団体は、特に東京では本当にリード獲得のエンジンになります。私のやり方はシンプルで、団体に関わり、登壇機会を得て、その場で市場教育をすること。AIやIoT、5Gなどのテーマでセミナーや講演をしてきましたが、それが大きなインバウンド関心につながっています。
これこそ「Plug In」の好例です。自分だけで需要をゼロから作るのではなく、既存コミュニティの流通網と信頼を借りて、そこに中身を持って参加するのです

最後に一言:エコシステムを使え――でも“おんぶにだっこ”はNG

―このプレイブックを一言でまとめるなら、日本のエコシステムへの「Plug In」はどう考えるべき?
Marc Einstein氏:
日本には本物のショートカットがあります――市場投入までの時間や初期学習を短縮できる方法です。ただし、マーケ・オペレーション・営業すべてでエコシステムを「能動的に使う」場合だけです。私ならシンプルなチェックリストを作ります。「JETROに相談」「大使館に相談」「業界団体に関与」「適切な民間パートナーを特定」。
ただし「無料で何でもやってもらえる」とは思わないこと。支援ネットワークは加速してくれますが、あなたの仕事を代わりにやってはくれません。

次のステップへ

公的・民間支援の活用順序、JETROや大使館の効果的な使い方、オペレーションの停滞を防ぐ方法は、
Marc Einstein監修のホワイトペーパー
「Plug In to Japan日本進出を加速するリソース活用プレイブック」にてご覧いただけます。

内容例:

•支援活用の順序:まず何を、次に何を、三番目に何をすべきか
•JETROの得意分野(と絶対にやってくれないこと)
•大使館・業界団体ネットワークを本当のパイプラインに変える方法
•プログラム・助成金・PoCをスピードを落とさず評価する実践法
•ビザ・在留管理:社内で持つべきこと、外注すべきこと、トラブル回避法

日本で成功するための実践ノウハウをぜひご活用ください。

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