日本エントリーのプロフェッショナル原沢に訊く、日本市場参入成功のセオリーVol. 1 - 直販か、パートナーモデルか?
最も大事なのは「誰と組むか」

 - 2025年 11月 11日 - 

Shigeru Harasawa_FV

原沢滋――彼の名前を知る人は決して多くないだろう。
彼は目立つ仕事をするタイプではない。だが、海外企業が日本市場を狙うとき、まず声がかけるべきは彼だ。なぜなら、彼は日本エントリーのプロフェッショナルであり、立役者であり、不可能を可能にする“ニンジャ”だからだ。これまで、多くの海外テクノロジー企業の日本市場立ち上げに尽力してきた。Experian、Netezza、DataStax、DataRobot といえば、ピンとくるひともいるだろう。これらの企業は現在、今もなお、日本市場において、プレゼンスを示している。そう、それは彼の仕事だ。だが、決して一カ所にとどまることはない。彼の仕事は名もなき企業の支援にまで及んでいる。必ずしも成功するとは限らない。それでも彼は支援を続ける。
日本という特別な国で事業を立ち上げるとはどういうことなのか。

このインタビューでは3回に分けて、原沢滋に他では聞くことのできない日本市場にまつわる貴重な話を聞いた。第一回目のテーマは、「直販か、パートナーモデルか?」

― 今日はどうもありがとうございます。日本支社立ち上げの基本として、直販は避けろ、パートナーモデルでいけ、というのがセオリーですね。それはその通りですか?

原沢:正直、直販できるんだったら直販した方が楽なんです。代理店販売すると20%利益が削られてしまうから。ただ、少し前まで日本においては、事業会社のITは全部システムインテグレーターに丸投げというのが常識でした。だから、直販はするな(通用しない)という話になっていました。
ところが最近は日本も少し変わってきています。「ITも自分たちもやらなきゃいけない」と考える大手企業が増えてきました。例えば、楽天やヤフーなどのテクノロジードリブンといわれる企業ね。だから、そうした先進的な企業をターゲットにするんだったら直販でも十分戦える時代になったと考えていますね。

― 内製の機運のある大手企業には直販が可能な時代になった。楽天やヤフーがそのようになるのは当然の流れであると納得できます。その他の業種、トラディショナルな企業ではどうですか?

原沢:トラディショナルな企業、銀行、保険、製造……これらの企業はいまだ課題を抱えています。最大の課題は、彼らは社内にITの専門家を育てないことです。ひとりの社員に1部署を5年、次の部署に異動させて、営業、その次はIT、その次はマーケティング、といった形でいろんなことを経験させたがる。そうすると本物のITの専門家がその会社で育たないわけです。こういう企業に直販をしても無駄です。だから、直販でやるなら、本当にITの最先端の会社をターゲットにすべきですね。

直販か、パートナーモデルか?

― では、ITに先進的な企業を選べば、直販のほうがベターということですか?

原沢:それは、イエスでありノーであるんですが。というのも、直販の場合、一番問題となるのはサポートです。それから、直販するなら、人数が必要になりますね。一方、パートナービジネスの一番大きなメリットは、パートナーに面倒を見てもらうことができること。実際、コスト的に言うと、日本で事業を始めるのだったらばパートナーモデルで始めたほうが基本だと考えています。ケースによっては直販もありと言う時代になってきた。

Shigeru Harasawa_1

 

― なかなか煮え切らない回答ですね(笑)。

原沢:なにかこう、正しい道が一本あるわけじゃないんですよ。パートナービジネスといってもいろいろな会社がありますが、例えば、インテグレータではなく日本ビジネス参入のコンサルティングをやっている会社を最初にパートナーに選んだとしましょう。そういった会社だと人材紹介も手がけていることがあり、「日本に大きく投資しましょう!」とか言ってくるわけです(笑)。そうすると、必ず最低5人が必要ですよね、なんて言って集めてきて、人だけたくさん集めて一見、盤石の体制でスタートする。ただ、そのやり方は、意外とうまくいかないんです。そこはすごく注意した方がいいと思いますね。

― なるほど。パートナーを選ぶときに、人材調達でもビジネスをしている会社に、日本へのエントリーを相談してしまうと、大きく始めましょうと持ち掛けられることがあり、それには注意が必要であるということですね。

原沢:そう。今までいくつか手がけてきましたがきましたが、なにひとつ、教科書通りにはいかなかった。どれも全く違うケースで、これがセオリーというのはないんだけども、それでも、言えることがあるとすれば、直販にせよ、パートナーにせよ、「誰と組むか」が一番大事っていうことですかね。

Vol. 2に続く

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