猿人流! オンラインイベントのフレームワーク Vol.8 ~初期制作④:肝心かなめの集客プラン~

猿知恵
土谷 竜介   2022.05.13

数回に分けて連載してきた初期制作もいよいよ大詰めです。

講演コンテンツの大枠構成、外部の基調講演者のキャスティング、スポンサー集め、事務局設置、プラットフォーム選定と機能要件定義、デザインコンセプト開発とラフデザイン、配信・収録方法。オンラインイベントを制作するための実行計画の大枠はできあがりました。

 

初期制作のラストワンマイル ー 最後に集客プランを詰めていきましょう。

 

 

初期制作の構成要素

  • コンテンツプラン

  • 外部基調講演者のキャスティングとストーリー設計

  • スポンサーリクルーティング

  • イベント事務局の設置

  • イベント管理プラットフォームの選定、開発

  • デザインコンセプト開発

  • イベントサイトのラフデザイン

  • 収録会場、配信計画(事前収録vsライブ配信、会場の選定)

  • 集客計画

  1. 集客予算の再確認

  2. 自社集客のためのプラン

  3. 外部集客のためのプラン

  4. 最強の集客広告は何か?

 

集客予算を再度確認する

具体的な集客プランの検討に入る前に、いくつかの要素を再度確認します。

 

  • 初期計画で定められた“成果目標”と”KGI/KPI”

  • 基本計画で設定した登録者目標や参加者目標

  • 集客に割り当て可能な予算

 

いずれも基本計画までに検討した要素ではありますが、初期制作を進める中で起きた様々な変化により、非現実的な状態になっていないかを今一度ここで見直しておきます。

例えば、プラットフォームのカスタマイズが予想より高額になる、収録/配信会場費が高くつく、スポンサー獲得数が目標数に達していない、などのネガティブな変化。

または、集客力の高い素敵な外部講師をお招きできることになった、自社施設を活用することになり会場費を大きく押さえることができた、想定よりも多くのスポンサーを獲得できた、などのポジティブな変化もあると思います。

ポジティブとネガティブの両方の側面から、基本計画で設定した登録目標や参加者目標と集客に使える予算を見直して、実現可能性と課題を洗い出しておきます。

 

 

ところで、なぜこのステップが重要なのか?

 

 

オンラインイベントでもフィジカルイベントでも同じかもしれませんが、多くの場合、KPIとして”新規リード”が盛り込まれることが多く、これは自社のハウスリストリード以外からの登録が必要であることと同値であり、すなわち、外部集客でどれだけの登録/参加を獲得できるかが、このイベントが成功したか否かの判断基準となるからです。

あるいは、既存顧客の深耕を目的にしたKPIが設定されているのであれば、もっと集客の予算を押さえてオンラインイベントの内容を充実させる方向に費用を向ける必要がでてくるからです。

 

 

自社集客のためのプラン

 

① 集客メール配信のスケジュールと注意点

予算を確認できたところで、次は自社集客のプランを検討します。過去の同規模イベント開催時のデータなども活用しながら、自社のハウスリストからどの程度の集客を見込めるかを試算しておきます。また、必要があればハウスリストのクレンジングも行っておく必要もあります。
告知集客メールの配信スケジュールや回数については、主催企業の過去データに準じて決めることになりますが、この規模のオンラインイベントであれば、週に一回、または二週に一回のペースで配信して、しっかりとイベントの存在感をアピールしていく必要があります。もちろん、多すぎるメールは逆効果ですので、自社が配信しているその他のメールマガジンと被りのないよううまくスケジュールすることをお勧めします。

 

② 営業集客のためのツール提供

マーケティング部が配信するメール集客だけではなく、普段顧客と接している営業などの社員による集客も不可欠です。彼らが集客をするためのツールもしっかりと準備をする必要があります。イベントLP(登録サイト)をそのまま使う形、営業集客用の特設LP(またはデジタルのPDFチラシ)、デジタルのe招待券や招待コード設定、イベント専用のメール署名など、何を準備するかを決めていきます。

 

③ 営業さんにやる気を出してもらう工夫
クロスセルやアップセルという観点に立つと、日々顧客と接している営業部門が持つコンタクトというのは、言葉を変えると最もターゲティングとクオリファイされたリストとも言えます。これらの顧客に登録/参加してもらえるようにするため、営業のみなさんには積極的に集客活動に参加してもらう必要があります。とはいえ、営業からすれば、イベントの集客活動は本業ではありません。彼ら彼女らにやる気になってもらうためにどんな工夫ができるかも、実行担当責任者の重要なミッションとなります。

④ オウンドメディアや他のマーケティング活動の活用
その他、自社ホームページのイベントページでの告知などはもちろんのこと、自社SNSでの投稿を計画的に行う、登録サイトオープン後に参加するイベントでも告知集客活動を行う、告知動画の作成、一部講演のチラ見せコンテンツをティザー風に展開するなど、これらは全て登録や参加の動機付けにつながります。社内の各担当者と連携して、計画的に情報公開していけるよう調整します。

 

 

外部集客のためのプラン

 

① 外部集客で集めるターゲット
ここで集める外部集客リードは、いわゆる新規リードであることが期待されます。製品やソリューションにもよりますが、注意をしておきたいのは欲張りすぎてターゲティングしすぎてしまうことです。既存のリストと重複して自社集客とのカニバリゼーションを起こしてしまったら本末転倒ですし、ターゲティングはすればするほどコストインパクトも高くなります。ハウスリストや既存顧客リストをよく確認しながら、まだリーチできていない業界のトップオブファネルを狙うなど、どの程度の精度を外部集客に求めるかを検討する必要があります。

 

② コミット型集客プランの活用と注意点
とはいえ、担当者心理としては、まずは目標の登録者数に達することは最初にクリアしないといけない壁でもあります。そんな時にまず活用するのが登録保証型(コミット型)集客プランになりますが、保証型プランは活用しない手はない!というくらい強力な味方であるのと同時に、少し注意が必要な代物でもあります。

例えば、リード単価を落とすという目的のためだけに1社に絞りコミット数を上げ過ぎてしまったりしてはいないでしょうか? これは早期に安心を得ることはできるかもしれませんが、やりすぎてしまうと、ターゲット外のリードを集めすぎる可能性が高まりますし、結果として本当に登録して欲しいターゲット層を取りこぼすことにもつながります。

③ 複数メディアミックスでポートフォリオする
冒頭で再確認した予算は1円たりとて無駄にはできません。外部集客のターゲットと保証型プランの活用と同時に、よりターゲットされた専門メディアでの広告掲載やメール配信は複数媒体での実施、GDNやYDAのディスプレイ広告、SNS広告など、可能な限り網羅的かつ効率的にポートフォリオを組むようにします。一回メールを受信したくらいでは誰も登録はしてくれませんし、ましては一回広告を見たくらいではその存在すらすぐに忘れ去られてしまう時代ですから、開催までターゲット層の目に何度も入るように仕掛けていく必要があります。セオリー通りのやり方ではありますが、メディアミックスによる告知ポートフォリオはしっかりと組んでいくことはとても重要です。

 

 

最強の集客広告は何か?

ここまで見てきたように、自社集客や外部集客の手法をいい感じにプランできたとして、それらの実行を行う際には、コピーライティングやメール原稿のライティング、広告のアートワークデザイン、広告動画制作などをしていくわけですが、結局のところ、集客効果が最も高いのは(集客に最も重要な要素)は、この ”中身” になるわけです。イベントメッセージは本イベントのテーマに基づきますし、集客の目玉として至るところに露出される基調講演では、演者の顔写真やそこで話される講演内容が掲載されます。集客メールマガジンには主要な注目講演のタイトルや概要が紹介されます。

 

つまり何が言いたいかというと、最強の広告はコンテンツである、ということです。下手に広告に費用を投下するくらいであれば、著名講師に投資した方がよっぽど集客効率が良いことも多いです。また、講演コンテンツの内容も、自社が言いたいことを優先しているコンテンツを集客広告に載せても全くフックしないでしょう。ターゲットとなる登録者/参加者層が知りたいこと、聞きたいこと、または知っておくべきこと、示唆になるようなことを優先して考えるべきです。

当たり前ことのように聞こえますが、様々な思惑や横やりが入るせいか、愚直にこれを実行できるイベントはそう多くありません。成果目標と市場の要求をまっすぐに見つめ、意思決定の軸をぶらさない。そのために初期計画では成し遂げたい成果を定め、権限と責任が一致したプロジェクトの推進体制を決めました。基本計画ではイベント全体を一気通貫して顧客にお届けしたいテーマを可視化し、関係者にこれでもかというくらい刷り込んでおく必要があるわけです。

このブログシリーズの冒頭で「初期計画と基本計画、そして初期制作。重要なのはこの3つのフェーズです。」とお伝えしました。これらは相互に補完し合いながらオンラインイベントの骨子を構成してくれるだけでなく、プロジェクト進行中に浮かび上がる様々な課題局面でふれの無いジャッジメントを手助けしてくれます。

 

 

実施制作に突入!!!

さて、長かったこのブログですが、初期制作まで完了しましたので、いったん今回で終わりとしたいと思います。

ここから先はいよいよ実施制作に突入していくことができますが、実施制作では、ここまで決めてきた計画のひとつひとつを実行していくのみとなります。いずれにもイベントごとの個別具体的な内容になっていきますので、初期計画と基本計画、初期制作で検討・確定させた内容を踏まえて確実に作り上げていきましょう。

もちろん、企業を取り巻く環境は絶えず変化をしていますので、計画に縛られ過ぎてもいけません。安易な方向に流れるわけではなく、建設的かつ攻めの方向に軌道修正するために、時には大胆かつ柔軟に計画を変更させながら、実施制作を進行させていくことも大事です。

 

 

最後にものをいうのは“実行力”

このブログ連載では、猿人的に重視する最初の3つのフェーズに絞ってつらつらと書いてきました。が、長い長いオンラインイベントのプロジェクトを成功に収めるためには、このあとの実施制作を“やり遂げる”ことができる“粘り強い実行力”が欠かせません。

どんなに3フェースの内容が良くても実行されなければ何の意味もないです。実施担当責任者は、社内外に対して粘り強くコミュニケーションを取って成功を確実なものにしていく必要がありますし、社外から支援する代理店と制作チームは、各担当領域のスキルやノウハウを梃子に「必ずこのプロジェクトを成功させる!」という強いマインドを持って取り組み、やり切れるだけの実行力を持ち合わせていなければいけません。

 


かっこ悪かろうが、泥臭かろうが、最後にモノを言うのはやはり実行力です。

 

 

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