事例に学ぶ、海外の優れたコンテンツマーケティング9選

はじめに
海外のコンテンツマーケティングは、ユーザーの興味や価値観を的確に捉えることで、ブランドの認知度だけでなく信頼感までを高めてきました。
乳業振興キャンペーンの「 Got Milk 」をはじめ、化粧品ブランドの Dove(ダヴ)、男性向け化粧品の Old Spice(オールドスパイス)、エナジードリンクの Red Bull(レッドブル)などは、短期間で話題を創出しながら長期的なブランド価値の構築に成功した代表例として知られています(参照*1)。
近年はSNSの進化やモバイル端末の普及により、ユーザーは膨大な情報の中から「自分にとって意味のあるもの」だけを瞬時に選び取るようになりました。その結果、単に情報を発信するだけのコンテンツでは埋もれてしまい、海外企業の間では、あえて“変わった”切り口で注目を集め、ユーザーとの対話を通じて関係性を深めるコンテンツマーケティングが増えています。
本記事では、そうした海外のユニークなコンテンツマーケティング事例に焦点を当て、各企業がどのようにユーザーを巻き込み、他社との差別化を実現してきたのかを紐解いていきます。事例を通じて、コンテンツマーケティングにおける発想のヒントや、実務に活かせる視点を探っていきましょう。
海外のコンテンツマーケティングにおける変わった事例の意義
海外のコンテンツマーケティングでは、社会課題への募金を軸にしたプロモーションや、企業の価値観・スタンスを前面に打ち出したコミュニケーションなど、多様でユニークな手法が展開されています。こうした取り組みに共通しているのは、単なる情報発信にとどまらず、ユーザー体験全体を設計することで本質的な差別化を実現している点です。
米国のクラウドファンディングプラットフォーム大手である GoFundMe(ゴーファンドミー)によると、非営利団体の支援獲得を目的とした取り組みは、支援者コミュニティの形成やモバイル最適化、AIの活用などの戦略が有効であると紹介されています(参照*2)。SNSやWebサイト、さらにはオフライン施策までを横断した一貫性のあるストーリーテリングによってユーザーの共感を引き出し、結果として長期的なブランドイメージの構築につながっているとされています。
独創性がもたらす差別化
競争が激化する市場においてブランドを際立たせるには、独創性のあるコンテンツが欠かせません。
たとえば「Got Milk」の広告キャンペーンでは、人々が普段あまり意識しない「不足」という感情に焦点を当てることで強い印象を残し、自然な会話や拡散を生み出しました(参照*1)。
意外性やユーモアを取り入れたコンテンツは、ユーザーにとって「誰かに話したくなる存在」になりやすく、SNSを通じた自発的な拡散を促します。海外のユニークな事例の多くでは、ユーザーが“見る側”にとどまらず、“参加者”として関与することで初めて成立する仕組みが取り入れられています。
非営利団体が複数の寄付プログラムを用意し、支援者自身が選択できる設計にするケースもその一例です。こうした仕組みは、寄付行為そのものを一種の「参加型エンターテインメント」として成立させ、拡散力を高めています。独創性は単なる話題づくりにとどまらず、ブランドへの関心を深め、ユーザーとの長期的な関係構築に寄与する点が大きな特徴です。
高リスク・ハイリターンの可能性
一方で、独創的な事例には企業にとって一定のリスクも伴います。
注目を集めるために大胆な企画を打ち出すことで、社会的評価やブランドイメージに予想外の影響を及ぼす可能性があるためです。
それでも海外では、こうしたリスクを前提とした挑戦を評価する文化が根付いており、成功すれば爆発的な話題性と高い投資効果を得られる点が注目されています。Red Bull が実施した大規模なスポーツイベントでは、短期的な収益性よりも挑戦を優先した結果、世界規模でのブランド認知拡大に成功しました(参照*1)。
また、AIなどの先端技術を活用したキャンペーンは、ITリテラシーの高い層の関心を集めやすく、短期間での拡散も期待できます。ただし、そこで得られた注目や好奇心を、どのように長期的なブランド好感度へとつなげるかが重要な課題となります。
企画がうまく機能すれば、ロイヤルユーザーの形成、ひいては競合が容易に模倣できない独自のブランドストーリーを築くことも可能です。
注目を集める変わった事例の数々
ここでは、海外で話題になった“ひとクセある”コンテンツマーケティング事例を紹介します。
奇抜さだけでなく、「ユーザーの参加」「ブランドの人格化」「体験の設計」など、注目を集める仕掛けに注目して読み進めてみてください。
HubSpot の事例
HubSpot は、米国発のマーケティングオートメーションツールを提供するソフトウェア企業です。
同社の特徴は、プロダクトの訴求に先立って「学習コンテンツの提供」を徹底し、見込み顧客の課題解決を起点に、リード獲得から育成までを一貫して支えている点にあります。
マーケティングや営業の実務に役立つブログ記事、eブック、ホワイトペーパーなどを多言語で公開し、世界中のユーザーに有益な情報を届けています(参照*3)。
また、英語圏以外の市場にも対応したコンテンツ整備にも力を入れており、各国のビジネス課題や商習慣に合わせたテーマ設計が行われている点も特徴です。たとえばポルトガル語やフランス語など、現地市場ごとに異なる事例や論点を取り上げることで、実践的な情報源としてマーケターから高い支持を集めています。こうした取り組みの積み重ねが、HubSpotのグローバルにおける認知度と利用率の向上につながっています。
Salesforce の事例
Salesforce は、クラウド型の顧客管理システム(CRM)を提供するソフトウェア企業で、グローバル規模で幅広い業種に導入されています。B2B領域では「Sales+Service Content Hub」を通じて、導入企業の成功事例や業界別ストーリーを多数発信し、検討企業が「導入後のイメージ」を具体化できるよう支援しています(参照*4)。
小規模企業から大企業まで幅広い事例を取り上げ、動画やホワイトペーパーなど多様な形式で紹介している点も特徴です。実際の導入効果を数値やインタビューで示すことで、導入検討段階の担当者だけでなく、社内の複数ステークホルダーを説得する材料としても機能しています。
Deloitte の事例
Deloitte は、世界的な会計事務所グループとして、コンサルティングや監査、リスクアドバイザリーなど幅広いサービスを展開しています。同社のコンテンツは、“派手さ”よりも一次データと分析に基づく信頼性で注目を集めるタイプです。
専門的な調査レポートや業界別インサイト記事を多言語で配信し、経営層や各部門の意思決定を支える情報を提供しています。とくに「Global Powers of Luxury Goods」など、オリジナルデータに基づく分析レポートを継続的に公開することで、市場変化や規制動向を早期に把握できるコンテンツを制作しています。こうした専門性と信頼性の高さが評価され、長期的なパートナーシップの構築につながっています。
Apple の事例
Apple は、革新的な製品と強いブランド力により、世界中に多くのユーザーを抱えています。BtoC領域におけるコンテンツマーケティングでは、機能説明に偏ることなく、「体験」としてブランドを伝える設計を特徴としています。
公式サイトや動画広告では、ユーザーのライフスタイルや創造性を刺激する演出を多用し、ブランドの世界観を「触れたくなる体験」として提示しています(参照*5)。また、新製品発表会のストリーミング配信やオンライン解説記事を通じて、直感的で洗練されたコミュニケーションを継続的に展開しています。
さらに中国市場では、吉祥の色とされる赤を活用したキャンペーンや、現地の祝祭日に合わせた限定ストーリーを展開するなど、文化的背景への適応も重視しています。こうした取り組みの積み重ねが、グローバルにおける高い人気とブランド価値の維持につながっています。
Cards Against Humanity の事例
Cards Against Humanity は、米国のブラックフライデーに合わせて「Holiday Hole」という寄付企画を実施しました。内容はシンプルで、寄付が集まるほど掘削時間が延長され、ただ“穴を掘り続ける”というものです。にもかかわらず話題は爆発し、最終的に約100,573ドルの寄付が集まりました(参照*6)。
この企画は、社会貢献の内容そのものよりも、「なぜ穴を掘るのか」という風変わりな発想と、ブランドが持つブラックユーモアの世界観を強化することに主眼が置かれています。一方で、資金の使途が不透明だという批判もあり、高いリスクを伴う施策であったことも事実です。それでも結果としては、常識外れとも言える行動がブランドの個性を際立たせ、強く記憶に残る成功例となりました。
IKEA の事例
IKEA では、デジタル全盛の時代にあえて紙のカタログの魅力を再提示するため、「BookBook」と名付けた斬新なキャンペーンを展開しました。最新のノートパソコンを紹介するかのように「紙のカタログ」を宣伝する動画を制作し、Apple の MacBook をパロディ化した演出がSNS上で大きな反響を呼びました(参照*7)。
シンガポールやマレーシアでは、この企画の実施後に売上が増加したと報告されており、印刷物とデジタルの相互補完が、ブランド認知や購買行動に寄与する可能性を示しています。動画の視聴完了率が高かった点も含め、「懐かしさ」や「手触り感」を価値として提示する設計は、日本市場でも応用できる余地があるといえるでしょう。オンラインからオフラインへと導線をつなぎ、体験を統合的に設計する重要性が浮き彫りになった事例です。
Duolingo の事例
語学学習アプリの Duolingo は、マスコットキャラクター「Duo」を前面に打ち出した映像コンテンツによって、TikTok 上で高い注目を集めています。トレンド音源に合わせて踊る動画や、クリエイターとの協業による投稿がバイラルを生み、プロモーションコストを抑えながら再生回数や「いいね」を大きく伸ばしました(参照*8)。
さらに特徴的なのは、コメント欄での積極的な返信を通じて、双方向のコミュニティを形成している点です。ユーザーの反応を拾い上げ、素早くコンテンツを修正・拡充する仕組み(ソーシャルリスニング)は、成長市場において特に有効とされています。実際、Duolingo のアプリダウンロード数はキャンペーン期間中に大幅な増加を記録したとされており、SNS上の「楽しさ」を重視したコミュニケーションが、ブランド醸成に直結した好例といえます。
Wendy’s の事例
北米のハンバーガーチェーン Wendy’s は、公式X(旧Twitter)において、ユーザーや他社に対して辛口かつ機知に富んだコメントを返すことで知られています。2017年以降は投稿の承認プロセスを簡素化し、ソーシャルチームの自律性を高めたことで、スピード感のある対話型コミュニケーションが実現されました(参照*9)。
ときには競合をユーモアで切り返す投稿もあり、その攻めた姿勢がコミュニティ内で話題になります。こうした発信はユーザーを楽しませるだけでなく、「応援したくなるキャラクター」としてのブランド像を確立し、ファン層の拡大につながりました。
もちろん炎上のリスクは伴いますが、挑戦的なSNS戦略は、企業とユーザーの心理的距離を縮め、ユーモアを好む層からの支持を集める結果となっています。
Airbnb の事例
Airbnb は、旅行・宿泊関連の予約プラットフォームを運営する米国企業です。
BtoC領域では、ホストや旅行者のリアルな体験をストーリーとして発信し、各地域の魅力やユニークな宿泊体験を伝えています。さらに、コミュニティフォーラムを充実させることで、ユーザー同士が支え合うサポート体制も整えています(参照*10)。
また、現地コミュニティとの連携を強化し、現地の写真家やコンテンツ制作者と協業することで、地域性と信頼感を高める取り組みを進めています。パンデミック後には「Made possible by hosts」キャンペーンなどを通じて、ホストとゲストのコミュニティを再接続する施策を強化し、ブランド認知と支持の拡大につなげています。
事例の共通点と成功要因
ここまで紹介してきた事例を振り返ると、成功の背景には大きく分けて二つの共通点が見えてきます。
ひとつは、ユーザーとの双方向コミュニケーションを前提とした設計。もうひとつは、企業独自の価値観や世界観を明確に打ち出したブランディングです。
いずれも企業が一方的に発信するだけでは成り立たず、ユーザーが自発的に関わり、発信したくなる“共感”を生み出している点が重要なポイントといえます。
ユーザーとの双方向コミュニケーション
成功している事例の多くは、ユーザーを単なる情報の受け手ではなく、対話のパートナーとして位置づけている点に共通点があります。SNSやコミュニティサイトのコメント機能を活用し、企業側がユーザーの声に即座に反応したり、企画そのものに参加できる余地を残したりすることで、関係性を深める取り組みが進められています。
たとえば Duolingo では、コメント欄での積極的なやり取りを通じて、アプリ利用者からのフィードバックを迅速にプロダクトやコンテンツに反映しています。こうした対応により、ユーザーとの接点が一過性に終わらず、継続的なコミュニケーションへと発展しています(参照*8)。
また、ロイヤルティプログラムを導入する企業も増えています。FARFETCH、H&M、IKEA、Rakuten、McDonald’s などでは、会員ステータスの階層化や限定体験を組み合わせることで、高いリテンションを実現しています(参照*11)。こうした仕組みは、ブランドを中心とした「ファンコミュニティ」の形成を促し、その熱量が自然な口コミや拡散の原動力となります。さらに、ケーススタディを通じて成果を可視化することで、第三者視点での信頼構築にもつながっています(参照*12)。
独自価値の確立とブランディング
変わった企画が成功するかどうかは、「どれだけ奇抜か」ではなく、ブランドの価値観とどれだけ一貫しているかに大きく左右されます。Cards Against Humanity が「穴を掘る」という突飛なキャンペーンを成立させたのも、もともとのブラックユーモア路線と明確に結びついていたからこそでした(参照*6)。
重要なのは、本来のターゲットが「このブランドだからこそ楽しめる」と感じられる世界観を提供できているかどうかです。IKEA の BookBook キャンペーンも、「暮らしを楽しくする」というブランド価値をユニークな形で表現し、多くの共感を集めました。
こうしたブランディングの一貫性が、企画を一時的な話題で終わらせず、その後も継続的にファンを増やす力となります。ユーザーがブランドに対して「自分の価値観に近い」と感じるほど、自発的な情報拡散が生まれ、それが結果として企業の成果に直結していきます。
おわりに
海外のコンテンツマーケティング事例を見ていくと、単に奇抜なアイデアで話題を生み出しているわけではなく、ユーザーを巻き込む仕組みを意図的に設計することで、リスクを上回る成果を獲得していることがわかります。本記事で紹介した事例からは、アイデアの斬新さそのものよりも、双方向のコミュニケーションと、企業が大切にしてきた世界観や価値観の一貫性こそが、成功のカギであることが見えてきました。
日本のマーケティングにおいても、海外事例は多くのヒントを与えてくれます。ただし、表面的な企画や演出をそのまま模倣するだけでは、同じ成果を得ることは難しいでしょう。重要なのは、自社やブランドが置かれている文脈を正しく理解したうえで、「自分たちらしい独自性」をどのように表現するかを考えることです。
短期的な話題づくりに終始するのではなく、ユーザーとの関係性を少しずつ積み上げ、長期的なファンやコミュニティを育てていく。その視点を持つことで、コンテンツマーケティングは一過性の施策ではなく、継続的に価値を生み出す資産となります。今回紹介した“ちょっと変わった事例”が示すポイントを参考にしながら、自社にとって最適なコンテンツマーケティングの形を模索してみてください。
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参照
- (*1) Dia Creative – 11 Clever Marketing Case Studies to Learn From in 2025
- (*2) GoFundMe Pro – Nonprofit Marketing: 10 Lessons to Increase Conversions and Strengthen Community
- (*3) HubSpotノウハウ無料ダウンロード資料
- (*4) Sales+Service Content Hub
- (*5) bubblestranslation.com
- (*6) the Guardian – Cards Against Humanity raises $100,000 to dig ‘tremendous hole’
- (*7) Print Power – PrintPower IKEA “Bookbook”
- (*8) Digiday – How Duolingo is using its ‘unhinged content’ with Duo the Owl to make people laugh on TikTok
- (*9) https://www.rivaliq.com/blog/wendys-social-media-strategy/
- (*10)AirBnBコミュニティフォーラム
- (*11) Queue-it – 15 unique & successful loyalty program examples for 2025
- (*12) https://zapier.com/blog/case-study-examples/
【この記事はAIを利用して書かれています】