あれは、2012年の5月、東京ビッグサイトで開催された、とあるIT系の大きなイベントでした。
施工などもほぼ終わり、さぁ明日からいよいよ会期!と、疲れ切っていた火曜日の夕方にその事件(?)は起きたのです。
主催者事務局の方が、分厚いファイルを手にブースにやってきて、こう言いました。
「このままではレギュレーションに違反しているので、会期までに必ず対応してください。」
・・・・・・・・・。
「ええええええええええええ!うっそーん!」
あの時の衝撃はいまでも忘れません。晴天の霹靂、阿鼻叫喚。
一瞬、時が止まり、汗がダラダラ、もうどうしていいかわかりません。
いまさら言われても、、なんとかならないですか?
数十分にわたり粘ってはみたのですが、その分厚いファイルの一文を見せられて、
「規則は規則ですから」
こちらのブース、はじめて猿人をご採用いただいたお客様。
数年前から、ご出展していればご挨拶と研究のためにブースに通い、この年にようやく提案のチャンスをいただき、初の提案にも関わらず、ご採用をいただいたのです!(自慢)
そして、その採用いただいた際にとても評価いただいたのが、ズバリこの“レギュレーション違反”だったのです。(もちろん、ご採用当初は違反でないと信じていました)
そのお客様からのご要望は、
「ブースも大きく(24小間)、多数の出展製品があるので、コーナーによって集客の優劣が発生することは不可避。どんなにメイン導線に面していても、内部までの距離が遠くなればなるほど、小間内部へ誘導できる数の限界(≒接客数の限界)があるのをどうにかしたい」
というものでした。
このどうにもならないボトルネックをどうにかできないかと、
2人座っても少し狭いMTGテーブルに、4人が集まって作戦会議です。
あーでもないこーでもない、、もう飲み行こうぜ。ハラヘッタ。と決定的な何かが探れていなく、煮詰まりだした頃に、猿人が誇るアイデアマンが一言こう言ったのです。
「もうさ、ブースの中にメイン通路作っちゃおうよ」

まだ、猿人ロゴが古い
晴天の霹靂、阿鼻叫喚。
うわ、ベストソリューションみっけた!!このコンペ取れたぞ!!
そう、本当にブースの中にメイン通路とメイン通路をつなぐ、抜け道を作ったのです。
「渋滞中の抜け道的発想」「4面解放ブースを6面解放に」
そして、その通路は来場者から見たらあくまで小間内導線でなく、会場導線に見えるように演出しよう!
ということで、その抜け道に、カーペットを敷かなかったのです。
とても面白いアイデアで猿人らしいと評価いただき、そのプランをご採用いただきました。
が、しかし、このカーペットを敷かなかったのがレギュレーション違反。その結末は前途の通りです。
で、どう対応したかって?
「必ず床を敷け」という規定でしたので、敷きました。
ただし、展示会でよく使われるパンチカーペットでなく、カッティングシートを床に。
「床ってパンチカーペットである必要ないでしょ?会場の床の色に一番近いカッティングシート貼ろうよ」
これが、またすごくいい。境目こそハッキリと違いがわかりますが、むしろこっちの方がいんじゃないかというクオリティ。最後の抵抗。諦めない力。
突然の申し出にも関わらず、施工をしてくれた協力会社の皆様のおかげで、無事に会期を迎えることができました。
そして、作戦は見事に功を奏し、抜け道を使う来場者が。あの瞬間は涙が出そうになりました。
おしまい